幸せの甘さ *

 

 

2月14日。今日は言わずと知れたバレンタインデー。

 

外国では恋人たちの記念日として、お互いにプレゼントを交換したりするそうだ。

日本では女の人が好きな男の人に告白したり、気持ちを伝える日になっている。

 

 

 

「バレンタインかー……」

 

御霊部での仕事を終え、帰り支度をしている柊一の口からポツリと零れた言葉。

 

「お、なんだ柊一、バレンタインに興味があるのか? まぁ柊一はモテるからな」

 

他人に聞こえるか聞こえないかぐらいの小さい声だったのに、反応が返ってきた。

まだ御霊部内にいるのだから、もちろん声の主は雅行である。

 

「別にそんなんじゃない。また製菓会社が儲けてるなぁって思っただけだよ」

 

「ほぉ、そんなこと考えてたのか」

「おかしいか?」

「いいや、そんなことないけど?」

そう言いながら雅行は意味有り気な視線を柊一に向けた。

 

「なんだよ……。僕はただ男からあげるのはどうなのかって悩んで……っ!!」

「そうか、悩んでいたのか」

「なんでもないなんでもない、今のは空耳だっ! じゃ、じゃあまた明日な!」

柊一は赤くなったまま走って部屋を出て行った。

 

「お疲れさん」

 

 

 

「ったく、雅行のやつ……」

柊一は雅行のことを恨めしく思いながら、一応恋人だしあげた方がいいのか……

別にいいのかを迷っていた。

 

 

「あげたら喜んでくれるのかな……」

そう呟いて近くのコンビニに入る。

 

(やっぱりいろいろあるなぁ……)

商品棚には綺麗にラッピングされたバレンタイン用のチョコがいろいろと並んでいる。

でも柊一は箱とかリボン、包装紙などとは無縁な板チョコを二枚、手に取った。

そしてペットボトルのお茶も持って、レジへ向かった。

 

 

袋を持って、この後どうしようかと考えながら歩いていたら、目の端に赤。

 

「おい柊一!」

「!?」

振り返ると、あの赤いスポーツカーに乗っている恋人の姿。

ちらほら周りの人に注目されている車へと、柊一は急いで駆け寄った。

 

「よお」

「何でここに!? てかカナリ目立ってるぞ!」

「ん、おまえを探してたんだよ。見つかってよかった。――ほら、乗れよ」

周りの目など気にも留めない。

 

柊一はチラと周りを気にしながら、助手席のドアに手をかけた。

まぁ、もう慣れてしまったのだが。

 

 

「で……? どこいくんだよ?」

二人になってから今まで無言だったが、柊一が疑問を口にした。

「さぁな。どうする?」

「どうするって……」

一体この車はどこへ向かおうとしてるんだよ……と心の中でつぶやく。

 

「じゃ、俺の部屋行くか」

「え……」

「なんだ。嫌なのか?」

「別に。嫌じゃない」

「ふっ、そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

克也の住んでいるマンションに着いて……。

 

「やっぱり綺麗に片付いてるんだな」

ソファに座って部屋を見渡した感想。

 

「やっぱり?」

「イメージだよ」

 

「それより何買ったんだ、それ」

克也は柊一の持っている袋を指差して言った。

 

「これは……たまに食べたくなるんだよ。ほら……」

どきっとしながら袋を差し出した。

「食べるか? もしかして嫌い?」

「どれ。――チョコか。別に嫌いじゃないけど……」

柊一から袋を受け取り中身を確認する。

 

「もしかして、バレンタインチョコ……か?」 

「えっ、いや、それは……/// ――貰ってくれるか?」

「これ、おまえの気持ちだよな?」

だんだん顔を赤くしていく柊一を可愛いと思いながら、嬉しそうに聞く。

 

「うん……僕――ッ」

「柊一」

言葉が途切れるぐらいに強く抱きしめて。

 

「愛してる」

 

大切な言葉を紡ぐ。

 

「僕も……。克也のこと、好き。大好きだから……」

「分かってる」

 

そして

 

幸せを感じる

とびきり甘いキスを……。



 

 

 

 

 

 


End*

 

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ひっっさしぶりに聖霊小説です。しかも時期がずれてる……。
初の克柊です!甘めになりました。
ていうかチョコにお茶ってどうですか!?
私は甘いものが苦手なので、一口ごとに何か飲むんですけど…。
で、お茶が多いわけです。熱いの。まぁ冷たい麦茶とか。
そんなことを友達との会話で普通に話したら、 えっ!!お茶!?って驚かれました u
まぁ、人の好みによってですよね〜。
狽ヘっなんか無駄な事を!
ではでは、最後まで読んでくれた方ありがとうございました v
2005/04/01






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