ガシャン! 屋敷の窓ガラスが割れた。そこから人が入り込んでくる。その手には銃が持たされていた。 「うわぁ〜っ!! なんだぁ」 柊一は驚いて悲鳴をあげた。相手(てき)は発砲してきた。柊一は懸命にコントローラーを操作して弾をよける。 「おらぁーっっ!!」 柊一も対抗して敵に向かって発砲する。それが見事に的中し、敵が倒れ少しして消える。 「ふぅーやったか……」 と安堵していると、主人公の後ろから5、6人の敵と思われるキャラが現れた。 「うわっまだいたのかぁ!?」 そのうちの2人が主人公めがけて発砲してきた。 「きたなっ!」 柊一は気合を入れて操作した。どうにかその2発はよけられた。が。更に弾が飛んでくる。 「こんのっ!!」 自分の体を動かすのは簡単だが、ゲームのキャラを思い通りに動かすのはなかなか難しい。 「このぉ〜1人に大勢とは卑怯だぞっ!」 などと柊一はテレビ画面に向かって叫んでいる。そんなとき、境内に1つの人影が現れた。 「ぎゃあぎゃあとうるさいぞ!」 そう柊一に向かっていったのは特殊文化財化――通称ヤミブンの誠志郎だった。 「ぁあ? ――なんだヤミブンか……。何だよ、今忙しいんだ」 そう言って必死でゲームをやっている。 誠志郎は何をそんなに必死でやっているのか……と柊一のほうに近づいていった。 「……なんだ、ゲームか」 ムッ 「なんだよ悪いかよ!?」 柊一はゲームを続けながら言った。 「別に……すごく真剣にやっているなぁと」 「それは……馬鹿にしてるのかぁ?」 ゲームの操作をしていると、どうしても力が入ってしまう。だから柊一の言葉には変なアクセントがついていた。 「してないって。どうしていつもそうつっかかってくるのかなぁ」 「こいつぅ〜!! オラオラオラァ〜!」 柊一はゲームにすっかりハマっていた。 「……大丈夫か飛鳥井……」 「うわっまた出てきたぞ! いつ終わるんだコレ!?」 主人公の周りには敵キャラが5人、また出てきた。今度はさっきと違って一揆に発砲してきた。 誠志郎は靴を脱いで部屋の中に上がりこみ、柊一の隣に座った。 「くっ……」 「飛鳥井、よけろっ!!」 誠志郎は柊一の肩に手を乗せ、顔を前に突き出し叫んだ。 「そんなこと分かってる!!」 柊一は弾をよけようと必死だ。 「ホラっそっちによけろ!」 誠志郎は興奮して、さっき乗せた手に力が入った。 「おいっヤメロ。操作できない!」 柊一の左肩だけに誠志郎の力がかかり、バランスが崩れていた。 でもヤメロと言ったので肩から手をどけてくれるだろうと思って、そのままゲームを続けた。 が、誠志郎はそんなこと全然考えていなかったようだ。更に盛り上がっており、「早くよけろ」「おい、死ぬぞ」などと柊一に耳元近くで叫んでいる。 「あ゛―やかましいっ! 耳元でわめくな!」 「あーごめん」 誠志郎は解ったように静かになった。柊一もこれでゲームに集中できる。と思って安堵してゲームを続けた。 が、それはほんの束の間の間だった。 誠志郎は、声は出していないものの力んでいた。たぶん心の中では盛り上がっているんだろう。表情にちょっと出ている。 「……あ゛―僕の肩から手を下ろせ! 人の肩を使って力むな!」 柊一はガマンできなくなった。 「おい飛鳥井! 敵がよってきてるぞ、いいのか!?」 誠志郎はすっかりゲームにハマっている。 柊一の声が全然耳に入っていなかったらしい……。画面上で起こっていることを心配している。 「(怒)楠木、おまえ聞いてんのかっ!? 手をどかせって言ってるんだよ!!」 「何? ……あぁ、悪い」 やっと状況を理解したらしく、柊一の肩から手を下ろした。 「ったく。やっと肩が軽くなった……」 しかしそれはほんとに束の間の状態で、また元に戻ってしまった。 「飛鳥井! ホラっ囲まれてるって!」 誠志郎は画面を見て叫んだ。なぜかその時、誠志郎の手は柊一の肩へと乗っかる。 柊一は軽くなったと安堵していたので、急に勢いよく乗っかってきた手の力のせいでガクンとバランスを崩した。 「うわっ! ……楠木、おまえいい加減にしろよな!」 柊一は誠志郎の方を向いて怒鳴った。 しかし誠志郎はまだ画面を見ている。ちゃんと聞こえているのだろうか。 「(怒)聞いてんのか!?」 「聞いてるよ」 もう一度怒鳴ると誠志郎はあっさりと柊一の方を向いた。柊一の顔の目と鼻の先に誠志郎の顔。 「き、聞こえてたんならその手…早くどかせよ」 柊一はちょっと戸惑いながら言った。まだ誠志郎の顔は近い。 「なんで?」 そんな柊一を間近でとらえながら誠志郎は微笑みながら言う。 「なんでって、邪魔だからに決まってるだろ」 「邪魔ね。――飛鳥井は僕のこと嫌いか?」 「は? なに言って……!?」 「――僕は好きなんだけど。飛鳥井は?」 柊一の目を見つめて真剣に言う。 「////」 柊一は誠志朗から目を逸らすために下を向いた。それでも視線を感じるせいか、だんだん頬が赤く染まっていった。 「飛鳥井ー、すごく可愛いんだけど」 「――おまえは……馬鹿か!」 柊一は赤くなった顔を上げて怒鳴った。 「うーん、馬鹿かもなぁ。こういうことしたくなっちゃうんだもんな」 そう言って誠志朗は柊一を抱きしめた。柊一の体が一瞬ビクッと震えた。 「嫌か?」 「…………」 嫌な感じはしない。そう思ったら自然と言葉が出ていた。 「別に……嫌じゃない…と思う」 「そうか」 ゆっくりでいいか。と誠志朗は心の中でつぶやき、感じる体温に口元を緩めた。 -------------------------------------++ 前アップしていた「取り付く霊1」のお話を書き直しました。 えぇ、柊誠から誠柊に。 文で書かいてないので分かりづらいですが、一応キスもしてます。 なんか楠木さんのテンションとかいろいろおかしいネ…(逃 [2004/5/23] |
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