「セブルスー! 待ってよー」


またか……。

後方から聞こえてくる少し遠い声。
最近よく聞こえてくる声。


この声に、足を止めようとしたことは…ない。





歩く速度。





「ねぇ一緒に行こうよー!」


スタスタスタ……。


「セブルス早い……!」




スタ、スタ、スタ







「――追いついた、セブルス!  スピード落としてくれて、ありがとう」


さっきから一定であったはずの距離間隔が、いつの間にか縮まっていた……。


「別にそんなことはしていない」

「あっ、待って」



スタスタスタ……




「――セブルス! そんなに僕のことキライなの?!」

「…………」

「ねぇセブッ!!」



――変な音が……まったく……。



「僕の名前はセブッではないぞ」


「ごめん。セブルス……」


「ったく、いつまでも座っていないで立て」

「あ、うん。――ッ!!」



立とうとしたルーピンの体が、ストンと元の位置に戻った。

その表情はきょとんとしていた。



「おい……?」

「あ、いや……あははは……なんか、力が抜けちゃって。びっくりしちゃった」

明るい声で言って……未だ座り込んだまま。


「ハァ……仕様がないな。ほら」

口からため息を吐いて、うつむいているルーピンに手を差し出した。


「ごめん……セブルス……。僕……いつもセブルスの邪魔になったり、迷惑かけてばっかりで……」

「な、ルーピン!?」


髪で隠れて目は見えないが、頬が濡れていて、泣いているのだと分かった。


「ごめん、ごめんね……っ! もっと嫌われちゃうから、泣きたくないのに……」


「泣くなルーピン。僕が泣かしたみたいだ」

「あっ、ごめっ……!」

「もう謝るな。それに、勝手に勘違いしているようだがな……、僕がいつおまえのことが嫌いだと言った?」


その言葉で、うつむいていたルーピンは顔を上げ、僕を見た。


「だ、だって……僕が呼んでも止まってくれないし……」

「もともと僕は歩くのが早いんだ。――今度からおまえが後ろから来たら、ゆっくり歩くようにしてやる」


僕の手が、いつの間にルーピンに伸びていて……
目元の涙を払い、涙の跡を拭っていた。


「せ、セブルス……?」

「――ほら、肩を貸してやる。早くマダムポンフリーの所へ行くぞ」

「え、一緒に来てくれるの?」

「一人じゃ無理だろう」


そう言って手を差し出したら、暖かい手が、触れた。



「ありがとう」



涙は消え、笑顔が浮かんでいた。








なぜか……


その顔見て、よかったと安堵した自分がいる。
















End*




初セブリマでした…。 050925

あれからもいつもと同じ声が響く





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